冷凍倉庫の活用事例~(株)ニチレイ・ロジスティクス九州 × NPO法人いるか(東区 東浜)~

冷凍物流のプロとして、子ども食堂の役に立てることはないか。
そんな思いから始まった株式会社ニチレイ・ロジスティクス九州(以下NL九州)とNPO法人いるか(以下いるか)の連携は、冷凍品の保管倉庫と管理システムを活用することで、子ども食堂への「食の支援」の幅を大きく広げました。

 NL九州では、企業の社会的責任を果たすため、また、自社の業務が社会の中でどのように役立つのかを若手社員にも実感してもらうため、地域貢献の方法を模索していました。そのような中、スマイルスペースシェアの取組みを知り、「冷凍品の保管や物流の専門知識を活用し、子ども食堂の支援につなげられないか」とマッチング事務局(ドネルモ)に相談しました。
一方、マッチング相手となったいるかは、フードバンクや子ども食堂、緊急支援宅食、フードパントリーなど、子どもたちの支援のため、多彩な事業を展開しています。これらの事業では常温品はもちろんのこと、食生活の向上には欠かせない冷凍・冷蔵品も扱っています。しかし、冷凍・冷蔵品については、既存の業務用冷凍庫に大量の品を置くスペースがなく、寄贈のお申出をやむなくお断りすることもありました。

そこで、スマイルスペースシェアが両者を繋ぎ、NL九州の倉庫の一部と物流システムをいるかが活用できるようになりました。これにより、いるかでは、大量の冷凍品の受け入れが可能となり、また、NL九州の物流管理システムを利用させてもらうことで、寄贈品搬入時の立ち会いも不要に。さらに、このシステムに登録すれば、いるかネットワークに参加する子ども食堂の運営者が、直接冷凍品を受け取りに行くことも可能となるため、いるかの業務効率化も図れました。
実際の運用がスタートするまでの過程で、寄贈品の受け取りから子ども食堂に届けるまでの「物の流れ」について、両者は丁寧に話し合いながら最適な方法を模索していきました。NL九州の担当者がいるかの現場を理解しようと寄り添い、一緒に仕組みを考えた結果、物流の専門性と現場の知恵が重なり合い、実際に使いやすい方法に整えられていきました。
さらに、物流管理システムの活用は、いるかにとって大きな学びになりました。「私たちは専門家ではないので、管理の仕組みも手探りで工夫してきました。だからこそ、物流のプロが持つシステムには“こういう方法もあるのか”と気づかされることが多く、とても勉強になりました」と担当者は振り返ります。限られた人手で工夫してきたNPOならではの強みと、企業が持つ専門的な知見が合わさることで、新しい視点と改善の可能性が広がりました。

また、この夏休みには、NL九州の「子ども食堂応援プロジェクト」第一弾として、いるかの協力のもと、同社社員が福岡市の離島である小呂島と玄界島へアイスを届ける取り組みを行いました。配送したアイスは、同社の呼びかけに応じてハーゲンダッツ ジャパン株式会社やクラシエ株式会社から寄贈されたものです。保冷バッグでキンキンに冷やしたアイスを船で運び、日頃、島の売店ではなかなか手に入らない多彩な種類のアイスを子どもたちに届けました。手渡された瞬間の笑顔と歓声が、暑い夏にひんやりとした喜びを広げました。